不動産売却を依頼する際の「媒介契約」とは?
不動産を売却するときには、不動産会社に売却依頼するのが一般的です。
もちろん不動産会社を通さずに自身で買主を見つけて売却することもできますが、不動産の売買には多岐にわたる専門知識が必要になってくることに加えて、個人間の売買は後々のトラブルに発展してしまうリスクが非常に高いためです。
では、実際に売却を任せようとする不動産会社が決まったら、
売主:「不動産を売ってね」
不動産会社:「はい、分かりました」
という口約束だけではいけません。
不動産会社は依頼された不動産を売却するために、
・どのような条件で売却活動を行うか
・成約した際に売主さまはいくら手数料を支払うのか
といった内容を売主さまとの間で明確に取り決めてから売却活動を行います。
この際に売主さまと不動産会社との間で取り交わすのが『媒介契約』です。
不動産会社は、媒介契約の締結が法的(宅地建物取引業法第34条の2)に義務づけられています。
また、依頼関係を明確にし、不動産仲介におけるトラブルを発生させないためにも必要な契約です。
では、媒介契約とはどのようなものかを以下に説明します。
「媒介契約」は3種類
まず、媒介契約には、
◆一般媒介
◆専任媒介
◆専属専任媒介
の3種類があり、主に次の5点の違いが挙げられます。
①同時に複数の不動産会社に依頼できるか
②レインズ(不動産流通機構)への登録義務があるか
③販売活動状況報告義務の有無や頻度
④売主さまご自身で見つけた相手と不動産会社を介さずに売買契約を結べるか
⑤媒介契約の期間
それぞれ内容の違いを表にまとめました。
一般媒介契約
売主さまは複数の不動産会社に重ねて不動産の売却を依頼することができ、また、売主さまご自身で見つけた購入希望者とも不動産会社を介さずに売買契約を結ぶことができます。
(※一般媒介契約の中には、売主さまが他ににどの不動産会社に依頼しているかを通知する義務がある「明示型」と、通知義務のない「非明示型」とがあります。)
一方、不動産会社側は、依頼された不動産をレインズ(不動産流通機構)へ登録する義務や売主さまへ販売活動状況を報告する義務はありません。
契約期間については法令上の制限はありませんが、国土交通省の定める標準媒介契約約款では「3ヶ月以内」が一般的とされています。
専任媒介契約
一般媒介契約と異なり、契約した1社以外の不動産会社に同時に売却を依頼することができません。
ただし、売主さまご自身で見つけた購入希望者とは、契約した不動産会社を通さずに直接取引できる点は一般媒介契約と同じです。
不動産会社側は、専任媒介契約締結後7日以内にレインズ(不動産流通機構)に依頼された不動産の登録をしなくてはならず、売主さまへの販売活動の進捗報告義務は「2週間に1回以上」とされています。
専属専任媒介契約
専任媒介契約と同様に、契約した1社以外の不動産会社に同時に売却を依頼することができません。
また、一般媒介契約・専任媒介契約と異なり、売主さまご自身で見つけた購入希望者でも、契約した不動産会社を通さずに取引することはできません。
不動産会社側は契約締結後5日以内にレインズ(不動産流通機構)に依頼された不動産を登録しなくてはならず、売主さまへの販売活動の進捗報告義務は「1週間に1回以上」とされています。
後悔のない不動産売却を!
依頼される不動産の特性にもよりますが、3種類の媒介契約のうち、どれを選べば良いかといったことは決して一概に言えるものではありません。
大切なのは「どの契約タイプがご自身の状況や意向に沿っているか?」だと思います。
売りたいと思う不動産は、世界にひとつだけの売主さまの大切な資産です。
売却の最初の段階で意に沿わない方向性のまま進めても、満足がいく売却になるとは思えません。
このため、媒介契約の種類や契約条件を無理強いしてきたり、わざと高めの査定価格を出してとりあえず媒介契約を取ろうとする不動産会社にはご注意ください。
それぞれの媒介契約の特徴をきちんと理解・納得して、後悔のない不動産売却をしていただきたいです。