住みながら自宅を売却。押さえておくべきポイント!
住み替えをする場合、今の自宅の売却は住みながら行いたいと考える方がほとんどではないでしょうか。
住みながらの売却は、売却で得られたお金で住宅ローンを返済したり、自己資金を増やして住み替えに必要となる様々な費用に充てることができるからです。
実際に私共が売却のお手伝いをさせていただく際、住みながら売却をされる売主さまはとても多くいらっしゃいます。
しかしながら、売る側にとって資金計画の面で都合が良くても、反対に、購入を検討する側にとっては、内覧時に居住中であるよりも、空家になっている状態を望む方が多いことは確か。
このためどうしても、「住みながらの売却は不利」とか「空家にして売った方が早く売却できる」などと、マイナスな助言を言われがちです。
~不利とされるのはどんなところ?~
「居住中の物件が売却に不利」と言われるのは、主に以下の2つの要因からです。
●生活感や生活臭が、購買意欲に悪影響となることがある
●購入検討者が存分に物件を把握できず、購入決定に至りにくい場合がある
★生活感や生活臭が、購買意欲に悪影響となることがある
住みながら売却するということは、内覧する方が家の中を見に来るということです。
そして実際に今現在、そこで生活をしているわけですから、生活感や生活臭があるのは当たり前です。
購入する側も「中古住宅」であることは十分理解した上で見に来られます。
ただ、生活感や生活臭の程度が、あからさまであってはいけません。
私共の場合は職業柄、どれだけ物で溢れていたとしても、広さや動線などの空間把握は容易にできます。
また、汚れていたり傷んでいる箇所があっても、リフォームの程度やビフォーアフターがその場ですぐイメージできます。
ですが、内覧される方の多くはそういうわけにはいきません。
『人の第一印象は〇秒で決まる』とか『人は見た目が9割』といった書籍が以前よく売れて、今でもその類の言い回しをよく耳にします。
人物に関してはさておき、対象を家に置き換えて考えた場合、第一印象や見た目が内覧者のモチベーションに影響した場面に今まで何度も遭遇しました。
この家に住んだらどこに何を置こう?どんな風に暮らそう?などと、「前向きに検討する意欲」が、
今、まさに萎んでしまったなという瞬間が、隣に居て見て取れるのです。
・物があることは決してマイナスではない
とはいっても、なにもモデルルームのようなレベルにする必要は全くありません。
でも、「いつものありのまま」を見せ過ぎるのもいけません。
例えば、壁面や床面が露出する割合の多い・少ないは、部屋全体の広さの捉え方に関係してきます。(物がない空家の方が有利と言われるのはこうした所からでもあります。)
ですが近年、空家をホームステージング(※)して売り出す(または貸し出す)形が増えていることからも分かるように、家具家電や物があることは決してマイナスなことではありません。
購入後の暮らし方やレイアウトのイメージが掴みやすいなど、居住中の物件には空家の状態にはない効果もあるのです。
ただ、あまりごちゃごちゃと物が置いてあるのは逆効果です。
整理整頓で部屋を整えて、なるべく部屋がすっきり見えるよう工夫しましょう。
※ホームステージング…家具や小物などをコーディネイトし、室内を演出して販売すること。「HOME(家)」と「STAGING(演出する)」を組み合わせた言葉。
・清潔感を保つことはかなり大事
購買意欲の減退に何よりも影響する点は、清潔感です。
中古住宅の購入を検討している方は、ある程度の汚れや傷があることは承知しているものですが、内覧時に不潔や不快に感じてしまうと、ここに住みたい!という気持ちにはなりません。
特に水回りの状態は、購入検討者にとって、気にする点の上位に位置します。
油染みや食品カスがべっとり付いたキッチンや、石鹸カスや垢で汚れた浴室、汚物汚れの残るトイレなどはNGです。
予算の兼ね合いで設備はそのまま使いたいという方がたくさんいらっしゃいますから、きれいに掃除して清潔にしておきましょう。
長年蓄積されて普通の掃除では落ちない頑固な汚れに対しても、今はホームセンターや通販で色々な業務用洗剤が簡単に入手可能な時代です。
浴室だけ、キッチンだけと、スポットで依頼することも可能ですので、時間が無かったり手に負えないほど汚れてしまっている場合は、掃除のプロに任せるのもありかと思います。
また、全体からの面積としては小さいですが、「玄関」も重要な場所のひとつです。
家は当然ですが、玄関から入室します。
扉を開けて一番最初に目に入る玄関は、家の第一印象が決まる場所。
靴が乱雑に出ていたり、物が山積みになっていると、やはり良い印象はありません。
印象を左右する最初の場所と認識して、きちんと整頓しておきましょう。
・臭いがこもらないよう換気は必須です
内覧当日の換気も不可欠です。
自宅の生活臭は自身では感じにくいものですが、他人は分かります。
私共は、売買物件でも賃貸物件でも多くの人を物件に案内する機会があります。
そして、臭いに敏感な人は想像以上にたくさん居らっしゃいます。
嗅覚は本能と情動に直接的に働きかけますので、そのレベルでマイナスにジャッジされてしまうと、その後の挽回がなかなか難しいのです。
換気の他に、
・カーテンやソファなどの布製品は、洗ったりファブリーズしておく
・靴は靴箱にしまい、且つ脱臭効果のあるものを入れておく
・ペットトイレの砂やシートは交換して綺麗にしておく
・排水口から臭いが上がってきていないか、排水トラップの封水状態を確かめておく
なども効果的です。
ルームフレグランスやお香の匂いも、人によっては不快に感じる場合もあります。
香料の強いものは控えるようにした方が無難かと思います。
★購入検討者が存分に物件を把握できず、購入決定に至りにくい場合がある
居住中の物件が不利と言われる2つ目の要因として、内覧を実際に希望する方の数が、(図らずも)ふるいにかけられてしまう点にあります。
空家の状態では、どの部屋へも自由に行き来したり、好きなだけ収納の中を確認することが可能です。
ですが居住中の物件の場合、多くの方が時間をかけて細かく見ることに気兼ねされます。
部屋の中ではいえば、寝室を丹念に見ることは皆さん躊躇われます。
他には、物件選びの大切なポイントである収納面について。
小物や大物含め、今の荷物がどれだけ収納できてどれだけ部屋を広く使えるのか、クローゼットや造り付けの棚があるならば実際に中を開けて容量までチェックしたいのが本当のところ。
色々な部分を存分に見てこそ安心感と共に居住イメージも膨らみ、購入の決め手となるケースもやはり多いのです。
このため、居住中の物件=自由に確認できないという認識が先行して、そもそも検討物件からとりあえず除外されてしまう場合も少なからずあるのも事実。
購入検討者には、段階があります。
何らかの理由があり〇月までに決めたいという方もいれば、まだそこまで積極的に探してないけど、良い物件に出会えれば考える…という方まで様々です。
特に後者の場合は、居住中物件の内覧希望を躊躇されてしまい、エリアや価格帯が似た空家の競合他物件の方だけに目が向いてしまう傾向も多々ございます。
でも、そんな方の運命の家が、内覧を除外した居住中物件であった可能性だって十分にあるのです。
・制限を可能な限り弛め、内覧しやすい雰囲気を心がける
プライベートの空間を見せてもらう以上、入ってほしくない部屋や見てほしくない空間も当然あるかと思いますので、そこを重々承知の上でのお願いにはなるのですが、可能な限り制限を弛めにして内覧できる状況であればありがたいです。
どうしてもダメなお部屋やスペースがあれば、売却を任せる不動産会社にあらかじめ伝えておけば大丈夫です。
不動産会社はその点に十分注意を払い、マイホームをお探しのお客さまに物件をおすすめしますのでご安心ください。
また、内覧者が委縮したり不安にしてしまう状況になると成約を遠ざける可能性が大ですので、内覧しやすい雰囲気や最低限の応対は大切です。
とはいえ、お茶を出したりプレゼンしたりなどの、おもてなしやお気遣いはご無用です。(これはかえって逆効果となる場合もございます)
宅内での誘導や説明は全て不動産会社にお任せで大丈夫なのですが、内覧者より直接、物件のことを質問されるケースは多々ありますので、そういう時は応対をお願いすることになります。
具体的には次のような質問が多いです。
・日当たりや風通し
・夏の暑さや冬の寒さについて
・隣近所はどんな方なのか
・前の道路の車の走行音の聴こえ具合
・町内会や子供会のこと
・マンションの場合、管理組合のこと
・周辺施設の利便性
などなど、物件を探されている方は大いに気になるところです。
実際に住んでいる人にしか分からないリアルな目線や情報が直接知れるのは内覧者にとって非常に有益で、これは「住みながらの売却」だからこそできる醍醐味でもあります。
売主にとって物件を直接アピールできる良い機会ですが、もし欠点や難点などを聞かれた場合も、後々に告知義務違反とならないよう正直に誠実に伝えなければなりません。
「家」というのは多くの人にとって人生で一番と言ってよいほど高額な買い物です。
加えて、中古物件を購入する方は、「どんな方が住んでいる(た)のか」という点も気にされます。
このため、家の状態と併せて、売主さま自身についても慎重に、時にはナーバスな視点で見られています。
対応ひとつで「こんな人が使っていたなら安心」となるか、反対に「こんな人からは買いたくない!」となるか。
最終的にそこが購入の判断の分かれ道となる場合も往々にしてあるので、注意が必要です。
・不動産会社と連携して、機会損失を防ぐ
住みながらの売却は、内覧希望者の希望内覧日時にできるだけ応じる必要性が出てきます。
内覧希望者は複数の家を同時に検討している場合が多いため、売却活動中は先方の希望日時に合わせられないと、売却機会を逃すことになりかねないからです。
また、先にも書いた通り、居住中の物件を見に来られる=熱意が高い、と考えても差し支えありません。
土日の内覧が多いことは確かですが、平日の場合も普通にありますので、あまり曜日に関係なく対応できるよう段取りや心構えしておくことが好ましいです。
ただ、お仕事や用事で都合がつかない場合も当然あるでしょう。
そのため、不動産会社には、その月や週の都合がつく曜日や時間帯などを密に伝えておくと良いです。
売主さまがご自宅をより良く魅せるための努力をされることと同じように、あるいはそれ以上に、売却を任された不動産会社は、売却の機会損失を防ぐための努力をしなければならないと考えます。
物件を広く魅力的にアピールし、ぜひ検討してみたい!という方をより多く見つける活動をするのが不動産会社の役割です。
その上で、売主・内覧希望者の双方になるべく無理をさせず内覧日を合わせられるよう鋭意調整するのです。
内覧は、売主さまにとって生活スケジュールが変わったりプライベートの時間が削られたりと、ストレスに感じられるかもしれません。
そんな期間がより早く終わるように、不動産会社と二人三脚で早期売却するのだという意識をもって、都合のみならず希望や条件は忌憚なくぶつけてほしいと思っています。
後悔しない売却を!
色々と書いてしまいましたが、結論として、よく言われる「住みながらの売却は不利」という考え方には、
「決して不利ではないですよ」と伝えたいです。
家というのは、まったく同じもうひとつを代わりに用意できるものでもありませんから。
売りたい家が居住中であるならば、「不利」とされる面をカバーしてアピールすれば良く、そしてそれは少しのポイントだけ押さえて売却活動をすれば、不利でもなんでもなくなるのです。
多くの人が人生で不動産を買う経験がそう何度もあることではないと述べましたが、売る側にとってもそれは同じことですものね。
住みながらの自宅売却をお考えの方、より良い条件で後悔しない売却となりますことを願っています(*^_^*)
私共 (株)東海住宅は、名古屋市北区にある地域密着型の不動産会社です。
名古屋市内はもちろん、市内近郊や近隣他県を含む愛知県全域の不動産を対象に、不動産仲介や不動産買取、リフォームなど、不動産に関する総合的なお手伝いをしています。
ひとりひとりのお客さま、ひとつひとつの不動産とのご縁を大切に、身軽さと融通の利きはどこにも負けないと自負しております。
無理な提案や、ノルマ重視のしつこい営業、強引でお客さまの意にそぐわない進め方は、自分がされたら嫌ですし意味も得るものも無いため、私共は一切しておりません。
不動産の売却をお考えの方、何でも遠慮なくお気軽にご相談ください(*^_^*)