不動産取引と日柄の関係
突然ですが、日柄って気にされますか?
私はというと、自分のことに限って言えば全く気にしないタイプの人間です。
ですが、不動産屋に勤めていると必然、日柄について意識する機会がよくあります。
我々の仕事には不動産の「契約」や「引渡し」が付き物ですが、日時を決める際に日柄が話題に上ることが非常に多いからです。
生活の基礎である衣食住の「住」に関わり、かつ高額でもある不動産に関しては、やはり縁起を担ぎたいと願う人が多いからではないでしょうか?
そもそも、「日柄」とは
「日柄」を端的に言い表すと、「暦の上での、その日の吉凶」ということになります。
まず、暦(こよみ、れき)というのは、時間の流れを年・月・週・日といった単位に当てはめて数えるように体系付けたものです。
そこで配当された各日ごとに曜日や行事や吉凶を記して、表形式などで表示したものが、いわゆる「カレンダー」ですね。
最近では記されていないことも多いですが、ひと昔前のカレンダーの日付辺りには必ずといって良いほど、「大安」や「仏滅」などの記載がありました。
具体的には、「大安」「仏滅」、そして「先勝」「友引」「先負」「赤口」の6種あり、これが『六曜(あるいは六輝)』として吉凶を判断する指標とされています。
つまり、日柄とは、この六曜のことを指すのです。
六曜には、「日」としての吉凶に加えて、下表のように1日の内の時間帯(午前/正午/午後)においての吉凶も存在します。
表にしてみました↓
六曜の一般的な解釈
基本的に順番は、表のとおり「先勝→友引→先負→仏滅→大安→赤口」ですが、旧暦で毎月1日に当たる日は最初から六曜が定められていることから、現代の暦で旧暦の1日に当たる日には順番がリセットされます。
いずれにしても、どの日もいずれかの六曜が当てはまっており、我々はカレンダーを見れば簡単にその日の吉凶を知ることができるようになっています。
時代とともに変化し、今の形へ
六曜の概念は、中国の陰陽道で使われていた暦が14世紀ごろ(鎌倉時代)に日本に入ってきて、江戸時代末期にアレンジされ大流行したと言われています。
本来は時間帯を占うための指標だったものが日を占うものとなったり、新暦に合わせて使用されるものになることで、現代社会に適した形へとなっていったようです。
また、六曜それぞれの名称や当てられる漢字も時代とともに変化し、吉凶の判断にも様々な解釈が存在するそう。
現に、万事に凶とされる「仏滅」も、最近では『滅びることで新たなスタートが切れる』といったポジティブな考え方で、あえて仏滅を選んでお祝い事をする人も増えているみたいです。
方々から忌み嫌われてて仏滅ってかわいそう・・・と思っていたので、こんな考え方は素敵だなと思いました。
信ぴょう性は?
ただこうして「形が変わる」ということは、「確固たる根拠に基づいていない」として、すなわち、信ぴょう性が無い!と一刀両断される向きがあることも事実です。
気にする/気にしないは人それぞれですが、どちらかの考えを否定するのではなく尊重し合って、そしてなるべくなら先の「仏滅」のように、ポジティブな解釈がたくさん増えると良いなと個人的には思ってます。
ところで、仕事柄さまざまな年齢の方と接しますが、世代が若くなるにつれどんどん馴染みが無くなって、「気にする/気にしない」以前に、六曜自体を知らない人の割合が増えているという実感があります。
今はもっぱら六曜表記のないスマホの標準カレンダーで日程を確認することが多いですもんね。
歴史深く日本の生活に結び付いてきた文化ですので少し寂しい気はしますが、全く廃れてしまう日も、もしかしたらそう遠くないのかもしれません。