「不動産買取」のメリット/デメリット/注意点

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2023年01月11日

「不動産買取」のメリット/デメリット/注意点

不動産売却の方法として一般的なのは、大きく分けて「仲介」と「買取」があります。

売主が不動産会社と媒介契約を結び、物件の買い手を探すよう依頼する形が「仲介」

不動産会社が買主となって直接、売主から物件を買い取る形が「買取」です。


ここでは、不動産の「買取」について取り上げたいと思います。

不動産買取のメリットデメリット
「買取」による取引成立も「仲介」による取引成立も、売主にとって結果的に「不動産が売れた」という状況になることに変わりはありません。

では、そこに至るまでにはどんな違いがあるのか?

「仲介」ではなく「買取」による方法を選ぶ場合の、メリット・デメリットから説明します。
 
 

【不動産買取のメリット】

メリット①:売りたい不動産を現金化するスピードが速い

不動産買取の一番の特徴として、「売却スピードの速さ」が挙げられます。

買取の場合は、不動産会社が売主から直接 物件を買います。

つまり、不動産会社=買主となるのです。

仲介での売買においては、不動産会社は売主と買主を繋げることが役割ですが、一般的に、買主を見つけるための広告・販売期間を経て取引が成立するまでの期間は、「平均して3~6ヶ月」といわれています。

ただしこれは物件自体の特性や地域、販売価格なども関係してくるもので、例えば1ヶ月以内に売れたり、逆に何年も売れなかったり…

これは物件によって変動するもので、一概に「いついつまでに売れる」と確実性を持つものではありません。


買取は、売主が査定額に合意すれば数日から数週間で契約という流れになるので、広告・販売期間がなくなることも相まって、現金化までのスピードが速く、かつ希望の期日に合わせて現金化することが可能です。

売りたいと思ってから数日後に現金化、というケースも多くあります。

このため、「確実に、早く売却したい」という方には最も大きなメリットとなります。
 

メリット②:仲介手数料がかからない

不動産会社が受け取る仲介手数料は、宅地建物取引業法により算出方法と上限額が決まっています。

例えば、売買価格2,000万円の物件を仲介した場合の仲介手数料の上限額は、消費税込みで「72万6,000円」です。

ただし、仲介手数料とは文字通り、不動産会社が売却物件を「仲介」した場合に売主より受領する報酬です。

買取による売買は仲介ではないため、仲介手数料がかかりません。
 

メリット③:契約不適合責任が免除される

買取の場合、売主は売却後の「契約不適合責任」を負わなくても良いことが一般的です。

「契約不適合責任」とは、不動産の売買契約を履行する中で「契約不適合」となった場合に売主が負うべき責任のことをいいます。

2020年4月の法改正により、改正前にあった「瑕疵担保責任」の仕組みが廃止され、「契約不適合責任」の仕組みが導入されました。


一般的に契約不適合となるのは、種類・品質・数量などが契約内容と違うものを売却してると判断された場合です。

不動産売却においては、主に「品質」について責任を問われるケースが多く、具体的には、雨漏りや水漏れ、屋根や外壁の破損、シロアリによる被害などが該当します。

建物以外にも土壌の汚染や埋設物があったり、土地の面積が契約内容と違っていたりした場合も、契約不適合と判断される可能性があります。

売却後にそういった瑕疵があり「契約不適合」となった場合は、修繕を行う必要があったり、代金減額や契約解除、損害賠償責任が発生するケースもあり得ます。


個人が買主となることの多い仲介での売買では、売主は契約不適合責任を負うことが基本ですが、取引相手が宅地建物取引業者(不動産会社)となる買取では、売主の契約不適合責任が免除されたり、対象が限定されるケースが一般的です。

買取による売却は、取引後に引き渡した不動産の中身を巡りトラブルなりにくい、という意味で安心の方法です。
 

メリット④:リフォームやクリーニングをする必要が無い

例えば、築古の物件や間取り的に需要が少ない物件、内装や設備の状態が悪い物件を仲介により売却する場合、

・買主を見つけやすくするために修繕やリフォーム等を施した方が良いか?
・必要だとすればどれくらいの費用と日数がかかるのか?

なども検討する必要が出てきます。


買取では、買主となった不動産会社が買取後に修繕やリフォーム、リノベーションをしますので、不具合は不具合のままで、売主は売却時に修繕費用等を考慮に入れなくても大丈夫です。

また、引き渡し時にクリーニングや掃除などする必要もありません。

家具家電や衣類や日用品など不要な室内残存物を残しておいても、現状のまま買い取ってもらえることがほとんどです。


修繕やリフォーム、掃除や片付け、不用品処分。

これらにかかる手間や費用がかからない点は大きなメリットだと思います。

メリット⑤:内覧対応にかかる手間や負担が無い

仲介による売買は、買主となる人が決まるまで購入検討者による内覧が行われます。

自宅に住みながら売却される場合などはどうしても、スケジュール調整や来客の準備、内覧時の応対が必要になってきます。

 
反して買取のときは、最初に不動産業者が現地調査に来るのみで、内覧対応のために掃除や片付けをしたり、スケジュールを空けたりといった手間や負担がかかりません。

こうしたことが苦にならない方や、空家になっている不動産を売却する方にとっては良いのですが、お仕事や用事でなかなかスケジュール調整ができなかったり、準備や対応が面倒だなと感じる方にとってはメリットがある方法と言えます。

メリット⑥:ご近所など周囲に知られずに売却が完了する

仲介による売却の場合、買主を探すために広告をするのが一般的です。

広告とは、売物件をインターネット(不動産流通サイトや不動産会社のホームページなど)に掲載したり、チラシをポスティングしたり、現地見学会を開催したりなど、広く買い手を募集することです。

つまり、物件情報が誰でも知れる状態になる、ということです。

物件の住所や地図、外観や室内などの写真も掲載されますので、周囲の人は、どこの誰がどんな内装の家を、いくらで売っているのか知ることができるのです。

 
買取の場合は、買主=不動産会社のため、そもそも買い手募集広告自体をする必要がなく、売主は周囲に知られずに売却を完了することができます。

周囲の人が知っても特に支障はない、という方にとってはメリットとは言えませんが、多少でも差し障りがある場合には、買取が向いています。
 
 

【不動産買取のデメリット】

買取のデメリットと言えるのは、1つです。

メリットを6つも挙げて、デメリットは1つだけ?

と思われますでしょうが、それはズバリ、「価格」に関係します。


買取金額は、仲介における相場の価格から1~3割ほど低い金額になることが一般的です。


不動産会社は物件を買い取った後に、リフォームやリノベーションをして再販します。

これらにかかる費用に加え、所有権移転登記費用や不動産取得税、また販売にあたっての広告宣伝費などの経費も必要となってきます。

このためどうしても、通り相場価格で買取をすることが厳しいのです。
 

★買取に向いている方

・〇月〇日までに現金が必要という方
・価格よりスピード重視である方
・手間や時間をかけたくない方
・周囲に知られずに売却を完了させたい方
・一般的に買い手が付きづらい物件を売却したい方

などに当てはまる場合は、買取による売却方法が向いていると言えます。


「価格が1~3割ほど低くなる」という点は無視できないとても大きなものです。

ただ、築年数や物件状況、立地面などが要因で市場で売れづらい不動産であったり、事故や事件やトラブルがあった不動産をお持ちの方も、仲介より買取の方が適しています。

何より、とにかく早く売却したい!時間も手間をかけたくない!近所に知られたくない!にひとつでも当てはまるのであれば、一番確実な売却方法です。


また、「仲介」で長期間売れない物件も、場合によっては買取による売却への切り替えを検討した方が良いこともあります。

「場合によっては」というのは、売却価格を見直すなど条件を変えたり、広告活動に改善の余地がないか確認してもなお、市場での需要が見込まれない場合です。

不動産が売れない理由は必ずあり、売却方法の向き不向きもまたあるのです。
 

買取を検討中の場合に注意してほしいこと

所有している不動産を売却することになった場合。

誰しも、「手間なく早く売りたい」と「なるべく高く売りたい」を両立できるのが一番です。

ただ、自身の置かれた状況や不動産の属性を考えた時に、「仲介」より「買取」にした方が得策なのかの判断に迷うことはあるでしょう。

その際に、予め気を付けておいてほしい点が2つあります。

 

1つめは、「どんな物件でも買取対象になるわけではない」ということです。

不動産会社の社内規定により「買取対象の条件に当てはまらない」といった場合など、買取を断られるケースは多々あります。

特に大手不動産会社はマニュアルや社内規定が細分化されていますので、厳しくジャッジされることが多いです。



2つめは、「判断に迷った場合の相談先について」です。

不動産買取を専門にしている買取業者は当然ながら「買取」一択で話を進めます。

逆に、仲介専門の不動産会社は、買取自体を行っていませんので「仲介」を推します。

また、「買取保証付きの売却(※)」を大きくアピールする不動産会社の中には、仲介活動に力を入れないよう自社でコントロールして買取期日を待つのが狙い、という残念なところも多いです。

※…買取保証をする不動産会社と『専属専任媒介契約』を結び、一定期間は仲介で市場に売り出して、期限内に購入希望者が現れなかった時は、当該不動産会社が物件を買い取る仕組み


不動産の特性がひとつひとつ異なるのと同様に、売却するに至った状況や事情も人それぞれです。

その辺りの背景をもきちんと汲み取り、売却方法を限定せずより適正な提案をし、「仲介」でも「買取」でも隔てなく力を入れる不動産会社に相談されることをおすすめします。



余談ですが何年か前に、こんな相談を受けたことがあります。

「以前、〇〇(注:某不動産会社)で不動産の「買取」を依頼したのだけど、「仲介」手数料を支払っている。これって普通のことだったのかな?」

という内容です。

 
その当時の書類を見せてもらったところ、同じグループ内の買取部門と仲介部門(社名を1文字だけ変えてある)の間で、お客さんをキャッチボールしていたことが分かりました。

どこかの過程でその不動産会社から何かしら説明は無かったかを聞いてみましたが、「よく分からない」とのこと。


不動産売却は普通は一生に一度あるかないかで、取引に慣れていない人の方が圧倒的多数です。

これがその会社の常套手段なのか、今だに真相は分かりませんが、いずれにしても不慣れな取引の隙を平然と突いてくる会社は、普通にそこら辺に存在します。

買取に関わらず、不動産売却の仕組みをある程度は把握しておくことも、損をしないために必要かと思います。



長々と書いてしまいました。

これから不動産を売却される方、後悔しない売却となりますことを願っています。
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