「空家対策特別措置法」空き家を放置するとどうなる?

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2021年04月07日

「空家対策特別措置法」空き家を放置するとどうなる?

50年以上前から放置されているという兵庫県姫路市にある空家が以前ニュースになっていました。

なんと、所有権がある人が江戸時代から遡って約200人!(ご存命は93人)もいるということで、状況改善もままならず、市も住民も困惑しているという内容でした。


ここまで壮大な状況を私は初めて聞きましたが、仕事柄、空家に関する相談をいただくことはとても多いです。

ご相談内容は様々ですが、共通しているのはどの方も一様に困っていらっしゃるということ。

空家は適切な管理をせず放置を続けると、様々なリスクを伴う可能性が非常に高く、近隣トラブルや事件事故の発生源にもなりがちです。

また、2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、所有している空家が「特定空家等」に指定されると、問題はさらに大きくなってしまいます。

元々、空家を所有している人だけでなく、今後相続などによって所有することになる人も注意が必要です。
 
空家対策特別措置法

「空家等対策の推進に関する特別措置法」について

「空家等対策の推進に関する特別措置法」は、適切に管理されていない空家等について、その状態を是正するための措置を定めた法律です。

2015年2月に全面施行となり「空家対策特別措置法」「空家特措法」「空き家法」とも呼ばれています。
 

「空家等」の定義とは?

この法律で定義する「空家等」とは、次のものを指します。

『建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。』(法2条1項)


概ね年間を通して建築物の使用がなされていないこと(電気・ガス・水道の使用実績がないこと等)を判断基準にしているようです。

そしてこの空家等のうち、状態や周辺への影響の程度の両面から判断して、以下の基準のいずれかに該当する場合は「特定空家等」に認定されてしまいます。
 

「特定空家等」の基準とは?

具体的に「特定空家等」に指定される基準は以下の4つになります。

・倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

・著しく衛生上有害となるおそれのある状態

・適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態

・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
 

「特定空家等」に認定されるとどうなる?

【第1段階】助言・指導

特定空家等に指定されると、まず空家の所有者は行政から、空家の除却、修繕、立木竹の伐採その他の必要な措置をとるよう、助言または指導を受けます。

↓助言や指導を受けても状況が改善されないと認められたら…
 

【第2段階】勧告

行政より勧告を受けます。

この時点でその空家がある土地は固定資産税の住宅用地特例から除外され、固定資産税が最大で6倍にまで上がることになります。

※固定資産税の住宅用地特例とは…家屋があれば土地の固定資産税を更地の場合よりも最大 6分の1に軽減される措置です。勧告を受けると住宅用地特例の対象外となります。

↓さらに勧告に係る措置をとらなかった場合は…


【第3段階】命令

行政より改善命令が出されます。

命令に従わなければ、50万円以下の過料を科せられます。命令が出された特定空家には標識が設置されるとともに、その旨の内容が公示されます。
 
↓命令を履行しないとき、十分でないとき、完了見込みがないときは…


【最終段階】行政代執行

行政代執行法に基づき、所有者に代わって行政が空家の解体等を行う「行政代執行」が可能になります。

行政代執行法では、代執行に次の 3つの要件を定めています。

・義務者が義務を履行しない
・他の手段で義務の履行を確保することが困難
・不履行を放置することが著しく公益に反する

行政代執行によってかかった費用は所有者に請求されることになります。
 

早めの対応が必要です

特定空家等と認定された後、助言・指導の段階では法的な拘束力を伴わず罰則などもないため、ついつい対応を先延ばしにしてしまい、気が付いたら金銭面でより大きな負担がかかることになってしまったというケースはとても多いです。

 
本法制定前は空家の場合でも所有者の許可を得ていなければ敷地内に立ち入ることができませんでしたが、施行後は、市町村の職員やその委任した者が敷地内へ立ち入って調査ができるようになっています。

また、登記だけでは特定できなかった所有者を特定するために、住民票や戸籍、支払い義務者の名簿である固定資産税台帳を活用して個人情報を確認することが可能となっています。

特定空家等と認定される前段階で行政より所有者に状況確認がなされますが、この時に状況改善の意思を示し、ただちに実施すると見込まれるのであれば、特定空家等の認定には至りません。

しかし、状況確認があるということは、空家が何らかの悪影響をすでに周囲に及ぼしている可能性が高いということであり、この段階で何らかの手を打つ必要があります。
 

空家を所有していても今後使用する予定がなく、適切な管理を行うことも難しいという方は、このように状況が悪化してしまわない内に早めの対応をしてください。


※本ページは2021年4月時点での情報です。今後予告なしに変更される場合があります。
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