内法面積と壁心面積/損をしないよう違いを知っておこう!

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2023年09月21日

内法面積と壁心面積/損をしないよう違いを知っておこう!

分譲マンションなどの区分建物の専有面積を求めるには、2通りの計算方法があるのをご存じでしょうか?


ひとつは、壁の内側部分の面積だけを床面積とする計算方法、

もうひとつは、壁の厚みも加えて床面積を計算する方法です。

 
例えば同じ物件でも、どちらで測定したかによって、専有面積の表示が違ってきます。
 

この違いについて理解していないと、実際に住んでみて、想像よりも狭い?と感じたり、場合によっては税制優遇が受けられなかったりという事態になることも考えられます。


今回は、それぞれの測定方法について説明したいと思います。
 

内法

まずひとつ目の、『壁の内側部分の面積だけを床面積とする計算方法』ですが、

これを、「内法」といいます。

内法は、「うちのり」と読みます。


下図にあるように、壁や柱などの厚みを考慮しないで床面積を求めるものです。

例えばベッドなど家具を購入するとき、設置が可能か否かメジャーを使って部屋の採寸をしてみたことはないでしょうか?

その際には壁や柱の内側線の寸法を測ったかと思いますが、この内側線で測定した床面積が内法面積となります。

つまり、実際に利用できる部屋の広さを示す面積とも言えます。
 
内法

壁心

次に、ふたつ目の『壁の厚みも加えて床面積を計算する方法』ですが、

 これを、「壁心」といいます。

「心」の字は「芯」を使って「壁芯」と書くこともありますが、いずれにしても「へきしん」または「かべしん」と読みます。


下図にあるように、壁の中の中心線を想定して、その中心線に囲まれた面積を床面積とするものです。

実際に壁の中は目で見れないですし、多くの人にとってあまり馴染みがない計算方法かと思いますが、こうして測定した床面積が壁心面積となります。
 
壁心

内法面積と壁心面積とでは差が出る

同じ物件であっても、「内法」と「壁心」、どちらの方法で算出するかにより、数値上の床面積に差が出ます。

分かりやすいようにそれぞれの図を並べてみました↓
内法と壁心
図のとおり、壁心面積は、壁の中心線から内側線にかけての面積が加わる分、内法面積よりも大きくなるのですね。

おおよその目安となりますが、一般的に壁心面積と内法面積の差は、5~8%と言われています。

ある物件の壁心面積が80平米と表示されていたら、内法面積は76平米程度ということです。

もちろん、建物構造などにより壁の厚さは様々ですので、差異の程度も様々です。
 

なぜ2通りあるの?

建築基準法では、床面積の計算方法を、『建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による』と定めています。

言い回しがくどいですが、要は、建築基準法では「壁心」が採用されていると言えます。

実際、建築確認の申請する際には壁心で計測した床面積で申請されます。


同じく日本の法律で、建物を登記するための不動産登記法があります。

こちらも床面積は、『各階ごとに壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による』と定めてあります。つまり「壁心」です。

ですが、

『一棟の建物を区分した建物については、壁その他の区画の内側線』という注記があります。

 
どういうことかというと、「一棟の建物を区分した建物」、いわゆる「区分建物(※)」については、登記の際には「内法」を採用することとなっているのです。

従って、区分建物は、建築確認申請では「壁心」で計測した面積を記載、その後に登記をする際には「内法」で計測した面積を記載するということです。

※区分建物…マンションやビルのように1棟の建物が2つ以上の部屋に区切られて、その部屋が別々の所有権の対象となっている建物各部屋のこと


マンションを設計して建築確認申請を行う時点ではまだ建物が建っておらず図面上での計算になるため、実際の有効面積(=内法面積)を測ることができません。

このため、壁心と内法、2通りの計算方法があるのかもしれませんね。
 

面積差の把握が大事

それぞれの計算方法で求めた結果に差が出るため、混同を避けるために、不動産広告を規制する『不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)』では、次のようなルールを設けています。

1. 新築マンションや中古マンションの販売広告では、原則的に「壁心による床面積」を広告に表示する必要がある

2. しかし、中古マンションの広告では「内法による床面積」だけを表示することも許される

3. 2の場合には広告中に「登記面積」である旨を明記する必要がある


このため、よくポスティングされる新築マンションの広告チラシは、壁心による専有面積の表示になります。

中古マンションの場合は壁心でも内法でも良いとされますが、多くの不動産会社は、より広いと感じてもらえるよう壁心面積で表示することが多い気がします。

ただし、その場合は必ず「専有面積:78.50平米(壁心)」や、「専有面積:78.50平米(内法)」と記載しなければなりません。


このように、マンション購入を検討されている場合は、壁心面積と内法面積に差が生まれることをきちんと理解し、壁心面積で表示がある場合は実際に使用できる面積が表示面積より少し小さくなるということを覚えておくと良いと思います。
 

税制優遇が受けられないケースも

最後にもうひとつ気を付けてほしい点として、不動産の税制優遇を受ける場合があります。

床面積が50平米以上であることが適用の要件とされている、「住宅ローン控除」や「登録免許税の軽減」がこの税制優遇制度に当てはまります。
 

前述したとおり、区分建物は建築確認申請は壁心面積ですが、税制優遇を受けるには、登記簿面積、つまり内法面積が対象となっています。

例えば、専有面積が51.5平米(壁芯)と販売チラシに表示されているマンションを購入したとしたら、高い確率で登記簿面積は50平米未満になります。

つまりこの場合、税制優遇を受ける対象外の面積、ということになってしまうのです。


以上のことからも、区分所有建物を購入する前には、必ず登記簿の面積(内法面積)を確認するようにしてくださいね(^_-)-☆
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